血糖値が高い、何が悪い?
健康診断で「血糖値が高いので受診してください」と言われても、「特に症状もないし、まだ大丈夫だろう」と感じる方は少なくありません。
実際、糖尿病は初期にはほとんど自覚症状がない病気です。
そのため、気づかないうちに進行し、症状が出た時には合併症が進んでいることもあります。
血糖値が高いと、なぜ問題なのでしょうか?
血液中の糖は、私たちの体を動かすために必要な大切なエネルギー源です。
食事から取り込まれた糖は細胞で利用され、体を動かすエネルギーになります。
しかし、糖は多すぎると体に悪影響を及ぼします。
わかりやすくするために、私たちの日常生活を考えてみましょう。
たとえば、石油は私たちの生活を支える便利なエネルギー源ですが、使いすぎれば大気汚染や環境破壊を引き起こします。
体の中でも、これと似たことが起こります。
糖が多い状態が続くと、血管や神経など全身のさまざまな組織が少しずつ傷んでいきます。また、余分な糖は体内のたんぱく質と結びつき、「終末糖化産物(AGEs)」と呼ばれる物質を増やします。これが動脈硬化や組織障害を進める原因になります。
いわば、体の中で少しずつ“環境汚染”が進んでいるような状態です。
この状態が長く続くことで、将来的にさまざまな合併症が引き起こされます。

糖尿病で起こる主な合併症
糖尿病では、次のような病気を引き起こすことがあります。
- 脳梗塞
- 心筋梗塞
- 腎障害
- 糖尿病網膜症
- 神経障害
これらの合併症は、一度進行すると完全に元の状態へ戻すことが難しい場合があります。
そのため、糖尿病治療では「症状が出てから治療する」のではなく、「合併症を予防すること」が非常に重要です。
症状がない今こそ、早めの受診を
「症状がないのに病院へ行く必要があるのか」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、自覚症状がない時期こそ、将来の脳梗塞や腎障害を防ぐための大切なタイミングです。
健康診断で血糖値の異常を指摘された場合は、放置せず、一度医療機関へご相談ください。
インスリン治療について
病院を受診すると、状態によっては最初からインスリン治療が行われる場合があります。
「インスリンを使うと重症」というイメージを持たれている方もいますが、必ずしもそうではありません。
血糖値を早く改善し、膵臓を休ませる目的で、一時的にインスリンを使用することもあります。血糖コントロールが改善すれば、インスリンが不要になったり、内服薬を減らせたりする場合もあります。
そのため、インスリン治療を必要以上に恐れる必要はありません。
最後に
糖尿病は、「症状がないから安心」という病気ではありません。
健康診断で血糖値の異常を指摘された際は、早めに受診し、将来の合併症予防につなげていくことが大切です。


