リビングウィル(3) 実現するために
もしもの時の医療について、ご自身の希望を残す『リビングウィル』。言葉は知っていても、どう活用すればいいか迷う方も多いのではないでしょうか。
こういった意思表示について欧米では、生きている間にしてほしいことに対する意思表示をリビングウィル(Living Will)、亡くなった後にしてほしいことに対する意思表示をウィル(Will)と使い分けているようです。
この考え方によれば、終末期医療をどうするかは生きている間のことなのでリビングウィル、遺言書は亡くなった後のことを定めるものなのでウィルに分類されます。
こう整理すると、リビングウィルで示すべきことがわかりやすくなるのではないでしょうか。
さて、リビングウィルにおいて大事なことですが、リビングウィルには法律上の明確な拘束力はありません。
したがって、リビングウィルに示された内容が確実に実行されるという法的保証もありません。
意識を失った状態で医療機関へ運ばれた場合、医療機関がリビングウィルの存在を知らなければ、ご本人の意思とは関係なく、その時点で最善と考えられる治療が行われるでしょう。
また、リビングウィルがあっても、ご家族がその内容に強く反対した場合には、医療現場が対応に苦慮し、ご本人の希望どおりにならない可能性もあります。
こういった事態を防ぐため、リビングウィルを作成する際は、ご家族と十分に相談しながら作られるのがよろしいかと思います。
あるいは、作成した後に、ご自身の意思をご家族へしっかり伝えておくことも大切です。
また、かかりつけの医療機関がある場合や、介護サービスを利用されている場合は、その関係者にも相談や意思表示をしておいた方が、万が一の際に希望に沿った対応をしてもらえる可能性が高くなります。
このように、自分の周りの人たちと終末期医療について話し合い、自分の意思を共有しておくことは、まさにACP(Advance Care Planning:人生会議)そのものです。
リビングウィルは、作成することがゴールではありません。
作成した内容をご家族(あるいは信頼できる友人や代理人等)や医療・介護関係者と共有し、いざという時にその意思が尊重される環境を整えておくことが大切です。
次回は、リビングウィルには具体的にどのような内容を書けばよいのかについて見ていきたいと思います。


