症状がなくても要注意!健康診断で「血圧が高い」と言われたら
健康診断で血圧が高いと言われても、特に症状がなければ放っておいても良いでしょうか。
今回は、血圧が高いと何が問題になるのか考えてみたいと思います。
そもそも、血圧は何によって決まるのでしょうか?
厳密な医学的メカニズムは少し横に置いておき、イメージとして分かりやすく言うと、
血圧=体液量×血管抵抗
です。

従って、血圧を下げるお薬は、大雑把に大きく分けると、
1)体液量を減らす利尿剤
2)血管を広げて血管抵抗を下げる薬
の2種類に分類できます。
1.体液量はなぜ増える?
最大の原因の一つが、塩分の取り過ぎです。
水はNa(ナトリウム)とともに移動します。
塩はNaClですから、塩分を取り過ぎると体内にNaが増え、それに伴って水分も体内に蓄えられます。
その結果、体液量が増え、血圧が上がることがあります。
もちろん、塩分の取り過ぎ以外の原因で体液が増えることもありますが、今回はそれについては省略します。
2.血管抵抗が上がるメカニズム
血管が収縮すると、血管抵抗が上がります。
例えば、精神的に緊張している時は交感神経の働きによって血管がギューと締まり、血管抵抗が上がり血圧も上がります。
一方、動脈硬化が進むと血管は硬くなり、柔軟性を失っていきます。
本来、血管は血液が流れてくると、ある程度しなやかに広がることで血圧の変化を和らげています。
しかし、血管が硬くなると、この働きが十分にできなくなり、血圧が上がりやすくなります。
つまり、血圧は様々な理由で上がりやすいということですので、治療にあたっては血圧が高い理由を突き止めることが大事になってきます。
3.血圧が上がると何がまずいのか
血圧が高いと、血管の壁に強い力が加わり、血管が傷みやすくなります。
この結果、コレステロールなどが血管壁にたまりやすくなり、動脈硬化が進みます。
動脈硬化が進むと、血管は硬くなったり、血管の内側の通り道(血管内腔)が狭くなったりします。
その結果、血管が狭くなったり詰まったりすると、脳梗塞や心筋梗塞、閉塞性動脈硬化症などの原因になります。
また、腎臓の細い血管が傷んだり、血管が狭くなったりすると、腎臓に十分な血液が届きにくくなり、腎機能が低下することもあります。
さらに、血管壁が傷んだり弱くなったりすると、血管が破れて脳出血などを起こすこともあります。
また、血管壁に亀裂が入り、血液が血管壁の中に入り込む「動脈解離」が起こることもあります。
一方、血圧が上がると、心臓はその高い血圧に逆らって血液を送り出さなければならず、心臓に大きな負担がかかります。
この状態が長く続くと、心筋が厚くなるなど心肥大の原因となり、最終的に心不全につながることもあります。
そして、ここまで説明したように、高血圧と動脈硬化はお互いに影響し合います。
高血圧によって血管が傷む
↓
動脈硬化が進む
↓
血管が硬くなり、血圧がさらに上がりやすくなる
という悪循環が起こる可能性があります。
このように、血圧を高いまま放っておくと、動脈硬化が進み、血圧がより高くなったり、脳、心臓、腎臓など、さまざまな臓器に障害が現れてくる可能性があります。

4.どれくらいの血圧を目標にしたらよいか
さまざまな研究結果などから、現在、日本高血圧症学会では、
1)診察室血圧 130/80mmHg未満
2)自宅での血圧 125/75mmHg未満
を治療目標にしています。
両者の差は、診察室では緊張するので若干血圧が上がることを想定して差が設けられています。
したがって、この数値を一つの目標として考えるとよいでしょう。
ただし、この数値を超えたら、すぐに薬による治療が始まるわけではありません。
ダイエット教室で述べたように、肥満のある人では、現在の体重から5~10%程度の体重減少によって血圧が改善したという報告もあります。
また、塩分制限などの食事指導によって血圧が改善することもあります。
病院へ行ったら必ずすぐに薬を出される、というわけではありませんので、血圧が高いと言われたら、受診をためらわないようにしましょう。
症状がなくても、血圧が高い状態を放置しておくリスクを少しでもご理解いただけたなら幸いです。



